コンタクトレンズを選ぶとき、大切なのが『酸素透過率』です。
酸素透過率はわかりやすく何%と表記されています。
酸素透過率とは、コンタクトレンズがどれくらい酸素を通すことができるか数値化したもので、Dk/Lという単位で表します。
DK/L値が大きいほどより酸素をたくさん通します。
従来型の素材の商品は、Dk/Lが30.0前後のものがほとんどでした。
しかし、シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズは、100.0以上の商品も多くあります。
酸素透過率ではシリコーンハイドロゲルのほうが優れてといえます。
酸素透過率が低いとどうなる
酸素透過率が低いと目が酸素を取り込む量が減り、目が酸欠状態になります。
すると目が疲れやすくなり、人によって痛みが出たり、目の病気になるリスクもあります。
では、反対に酸素透過率が高いとどうでしょう。
酸素透過率が高いとコンタクトレンズは目が疲れることが少なくなります。
そして付け心地も快適になります。
含水率
含水率とはコンタクトレンズの素材にどれくらい水分が含まれているかを表す性能値をいいます。
含水率はがんすいりつと読み、単位は『%』です。
一般に市販されているコンタクトレンズの含水率は20%~70%程度なものがほとんどです。
含水率は高いほうがいいのでしょうか、それとも低いほうがいいのでしょうか。
実は、コンタクトレンズの素材によって含水率が高いほうがいいもののあれば低いものがいいものもあります。
コンタクトレンズの素材と含水率の選び方
ソフトコンタクトの素材はメーカーによって細かく違いがありますが、大きく分けるとワンデーアキュビューやメダリスト、デイリーズアクアで使われている従来型の素材(P-HEMA)と、ワンデーアキュビュートゥルーアイやデイリーズトータルワンなどで使われているシリコーンハイドロゲルという新しい素材があります。
従来型の素材は水分を多く含むことで装着感や酸素透過率などを高めることが出来るため、含水率の高いもののほうが性能は高いと言えます。
一方で、シリコーンハイドロゲルでは水分がない方が多く酸素をより多く通すことができるため、含水率が低いほうが性能は高いと言えます。
ただし、含水率が低すぎると装着感が悪いため、シリコーンハイドロゲルの含水率は20~40%程度となっています。
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズ
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズはご存知ですか?
初期から発売されている「ワンデーアキュビューモイスト」などの従来型素材のコンタクトレンズよりも格段に目に優しいコンタクトレンズで、酸素を良く通し、乾燥しにくいのが特徴です。
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズとしては、ワンデーアキュビュートゥルーアイやアキュビューオアシスなどがあります。
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズのメリット
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズを使用するメリットは次の3点です。
酸素透過率が高く目に優しい
まずは酸素透過率です。従来素材に比べて4倍~10倍程度酸素透過率が高いため、目に酸素を十分に通し、目が酸欠状態となることがないのです。
目に酸素が行きわたらないと目が疲れたり、充血したりするのですが、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズでは目が酸素不足となることがありません。
コンタクトレンズは毎日使うものですから、目に優しく快適なものを使った方が良いですよね。
うるおい感があり、乾燥しにくい
次に乾燥感です。シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズはうるおい感があり、目が乾燥しないのが特徴です。
従来素材のコンタクトレンズは酸素を通すために水分を多く含む必要がありましたが、逆に素材自体に含まれる余計な水分とともに涙が蒸発して目が乾燥してしまうのが欠点でした。
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは素材自体に水分を多く含まなくて良い構造となっており、保水力があるため乾燥することがほとんどなく、長時間つけても違和感がないのです。
多少の昼寝も問題ない
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは裸眼時の98%~99%程度の酸素を通すため、昼寝しても寝起きに違和感を感じることが少ないです。
『コンタクトレンズをつけたままうたた寝してしまって、起きた時にレンズが目に張り付いて目が充血した』経験をした方もいますよね?
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズであれば多少の昼寝でも耐えられて、目の充血やレンズの張り付きがなくなります。
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズのデメリット
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズを使用するデメリットは次の3点です。
レンズが硬い
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは質感がやや硬めで、中には違和感を覚える人がいます。
硬さが嫌でシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズを使わないという方もいるぐらいです。
汚れに弱く、レンズが曇る
素材の性質上、脂質系の汚れに対して弱く、皮脂や油脂でレンズが曇ってしまうことが多いのです。
特に女性は化粧に含まれる油脂が原因で目をこすったときや汗が目に入ったときなどにレンズが汚れて白っぽくなってしまうのです。
目薬を差しても直らないことが多く、新しいものに交換するか洗浄液で洗浄する必要があります。
洗浄液に注意が必要
シリコーンハイドロゲルの2week、1monthタイプのコンタクトレンズを使用する場合、使用する洗浄液には注意が必要です。
ひとつの液で洗浄、すすぎ、保存、消毒できるMPS(レニュー、コンプリートなど)では十分な洗浄が出来ずに汚れが残ってしまったり、変形してしまうことがあります。
シリコーンハイドロゲルの洗浄液としては、過酸化水素系のAOセプト、コンセプトワンステップなどの洗浄液を使うようにしましょう。
まとめ
ここ最近、新素材のシリコンハイドロゲル素材を使った酸素透過率が高いコンタクトレンズが各メーカーから様々なものが発売されました。
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは性能が良く、目の健康を考えるならば選んで当然かもしれませんね。
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズを使えば、目の疲れや乾燥から解放されて、快適に過ごせるようになります。
そこで目の大切な『酸素透過率』のいいコンタクトレンズをまとめてみました。
できるだけ酸素透過率が高いコンタクトレンズを使って、目にとって快適な環境を作りましょう。
1dayタイプのコンタクトレンズ酸素透過率
酸素透過率は1日中コンタクトレンズを使うなら、最低でも20.0Dk/Lは必要です。
目の健康にいい快適な環境を作るには、酸素透過率は100.0Dk/L以上がおすすめです。
100.0Dk/L以上あるコンタクトレンズであれば、夜中まで長時間つけていても目が疲れることは少なくなります。
また多少のうたた寝でも目のカスミも少なくてすみます。
※ベースカーブ(BC)とはレンズの曲がり具合のことです。
現在使用しているコンタクトレンズのベースカーブと0.3ずれると違和感を感じると思います。
コンタクトレンズを乗り換えするときの参考まで。
デイリーズトータルワン
酸素透過率156
ワンデーアキュビューオアシス
酸素透過率121
ワンデーアキュビュートゥルーアイ
酸素透過率118
マイデー
酸素透過率100
ワンデーピュアうるおいプラス
酸素透過率42.9
バイオトゥルーワンデー
酸素透過率42.0
プライムワンデー
酸素透過率40.0
ウェイブワンデーUVウォータースリム
酸素透過率40.0
ワンデーアキュビューモイスト
酸素透過率33.3
ワンデーアキュビュー
酸素透過率33.3
ワンデーアクエアエボリューション
酸素透過率26.3
メニコンワンデー
酸素透過率26.3
デイリーズアクア
酸素透過率26.0
デイリーズアクアコンフォートプラス
酸素透過率26.0
クレオワンデーUV
酸素透過率25.0
メダリストワンデープラス
酸素透過率24.4
ワンデーファインUV
酸素透過率24.0
プロクリアワンデー
酸素透過率22.8
ウェイブワンデーUVエアスリム
酸素透過率20.0
メニコン マジック
酸素透過率19.0
エルコンワンデーエクシード
酸素透過率15.9
ワンデーリフレア
酸素透過率13.6
エルコンワンデー
酸素透過率11.3
1dayタイプのおすすめコンタクトレンズは?
1dayタイプで一番酸素透過率が高く、おすすめなのがアルコンのディリーズトータルワンです。
酸素透過率156Dk/Lは他のコンタクトレンズを大きく上回っており、目の健康に一番良いコンタクトレンズと言えるでしょう。
装着感の良さや乾燥感の少なさも抜群で、快適なコンタクトレンズです。
他のコンタクトレンズからの乗り換えを検討されている方は、一度試してみると良いでしょう。
2week、1monthタイプの酸素透過率
1monthタイプは数が少ないため、2weekと合わせて紹介します。
2week、1monthタイプは日々の手入れが必要です。
洗浄をきちんと行わないと汚れが邪魔をして、酸素透過率が下記の値よりも下がりますので注意が必要です。
エアオプティクスEXアクア
酸素透過率175
メニコンプレミオ
酸素透過率161
バイオフィニティ
酸素透過率160
ロートモイストアイ
酸素透過率160
アキュビューオアシス
酸素透過率147
エアオプティクスプラスハイドラグライド
酸素透過率138
エアオプティクスアクア
酸素透過率138
フレッシュフィットコンフォートモイスト
酸素透過率130
アキュビューアドバンス
酸素透過率85.7
2ウィークピュアうるおいプラス
酸素透過率33.3
2ウィークアキュビュー
酸素透過率33.3
メダリストプラス
酸素透過率27.1
2ウィークアクエア
酸素透過率21.0
2ウィークファインUV
酸素透過率17.1
ウェイブ2ウィークUV
酸素透過率17.1
メダリストⅡ
酸素透過率15.7
エルコン2ウィークUV
酸素透過率14.3
なお、表中のバイオフィニティとロートモイストアイは名称のみ異なるだけで同一製品です。
バイオフィニティの方が安いので購入するならばバイオフィニティが良いでしょう。
2weekタイプのおすすめコンタクトレンズは?
2weekでおすすめのコンタクトレンズはクーパービジョンのバイオフィニティです。
付け心地が抜群によく、乾燥がほとんどないので、快適さNo.1です。
酸素透過率はエアオプティクスEXアクアや2weekメニコンプレミオにやや劣りますが、それでも160Dk/Lと十分な値ですので、目が疲れることがほとんどありません。
乱視用コンタクトレンズの酸素透過率
メニコンプレミオトーリック
酸素透過率161
アキュビューオアシス乱視用
酸素透過率129
バイオフィニティトーリック
酸素透過率116
ロートモイストアイ乱視用
酸素透過率116
エアオプティクス乱視用
酸素透過率108
フレッシュフィットコンフォートモイスト乱視用
酸素透過率91.0
マイデイトーリック
酸素透過率80.0
ワンデーアキュビューモイスト乱視用
酸素透過率31.1
ワンデーピュアうるおいプラス乱視用
酸素透過率30.0
デイリーズアクアコンフォートプラストーリック
酸素透過率26.0
ワンデーアクエアトーリック
酸素透過率18.1
メダリストワンデープラス乱視用
酸素透過率17.6
メダリスト66トーリック
酸素透過率16.4
なお、表中のバイオフィニティトーリックとロートモイストアイ乱視用は名称のみ異なるだけで同一製品です。
ロートモイストアイ乱視用の方が安いので購入するならばロートモイストアイ乱視用が良いでしょう。
乱視用コンタクトレンズのおすすめは?
乱視用でおすすめのコンタクトレンズはジョンソン&ジョンソンのアキュビューオアシス乱視用です。
酸素透過率ではメニコンプレミオトーリックに劣るのですが、メニコンプレミオトーリックはレンズが少し硬く、装着時に異物感を感じる方が多いのが弱点です。
一方、アキュビューオアシス乱視用は装着感、乾燥しにくさともに乱視用コンタクトレンズで一番評価が高く、売れ筋もNO.1です。
乱視用コンタクトレンズで乗り換えをご検討の方は、ぜひアキュビューオアシス乱視用を試してみてください。
※酸素透過率が低いコンタクトレンズを長時間使用すると、目が痛くなったり充血することがありますし、目の病気になるリスクもあります。
コンタクトレンズを選ぶ際には酸素透過率を重視するようにしましょう。